ヒカルは、僕の自慢の旦那様だ。
ちょっと落ち着きがないのと見た目チャラチャラしてるせいで軽い男と誤解されることもあるけど、僕のことをとても大事にしてくれて…愛してくれる。

恥ずかしくてヒカルには言えないけどね。
世間では妻の方が収入が良いと旦那はやさぐれるというけれど、ヒカルは僕の方が年収が多いことなんて全く気にしてない。
タイトルだけならヒカルの方が上なんだけど、僕は何故かCMやモデルのギャラもあるから…。
棋士の仕事だけで十分なのに、どうしてCMやモデルの仕事を受けないといけないのかと思うのだけど、スポンサーの意向には逆らえない。
ヒカルに言わせると、僕は美人でキレイだから当然らしい。
ヒカルもCMやモデルの仕事やってるけど僕より少ない。
カッコイイのに何でだろう？




ちなみに、僕達は世間に女尊男卑夫婦と呼ばれている。
僕がヒカルを怒鳴っている所や、僕の言うことを甲斐甲斐しく聞いている所を目撃されてるから、そんなことを言われるようななったんだろうけ

ど…。
怒鳴ってるのは昔からの癖で僕が悪いとして、妊娠中や体調不良の妻を心配をして何が悪いんだ？寧ろ当然だよ。
まあ、僕もヒカルも世間で言われることなんて、全く気にしてないけどね。
僕達は幸せだからどうでもいい話だし。





でもね…そんな優しい旦那様にも最大の欠点があって…。

ヒカルは家事が全くダメなんだ。もう壊滅的に。

ヒカルが１人暮らしを始めたマンションの部屋に足を組み入れた時の衝撃は忘れられない。
僕は検討の約束を忘れてて大掃除を始めて、ついでに開けた冷蔵庫の中のレトルト食品を見て盛大にキレて…。

「健康管理も棋士の仕事だろうッッッ！！！」

怒鳴った後、軽く３時間は説教した…。
その後、ヒカルは料理できないと知知って呆れながらも、彼の食事の面倒を見るようになって…
気が付いたら一緒に住んでいて…
……結婚してました。
実は順番逆になって、お父さんを卒倒させかけたり…。
まさか僕が順番を間違うなんて誰も思ってなかったらしく…あの塔矢アキラが？？！！…と、ちょっとした騒ぎになったりした。
当然だよね…僕もビックリしたから。
でも、ヒカルの子供を産まない選択はなかったし結婚しない選択はなかった。





そして結婚後、子供が生まれてヒカルがミルクを作ろうとして気が付いたら……台所を壊滅させてしまっていたこともあったよね…。
僕がウトウトしてる間に作ってたから止められなくて…。
あの時は、子供の夜泣きで殆ど寝てない所に、この状況だったから僕は盛大にキレて…

「もう君は台所に立たなくていいっっっ！！！」

台所禁止令を出した。
正直、ヒカルが台所に立たない方が家事が捗る。

ちなみに、僕の猛特訓の甲斐があって、今はミルクなら台所を破壊しないで作れるようになった。
３人目だしそろそろ覚えてくれてもいいよね。





そんな感じで、家事は全く役に立たないヒカルだけど子守りだけは悔しいくらいに上手い。。
アキラがどれだけあやしても泣き止まない子供達を、ヒカルがあやすと直ぐに泣き止むことに気付いてからは、お風呂や散歩、夜の子守りまで、

ヒカルがやってくれてる。
僕もやってるけど、子供の世話だけはヒカルの方が上のような気が…情けない。





実は今も生まれて１ヶ月になる子をヒカルが見ていて僕は防音装置の付いた部屋にいる。
防音部屋は家事や仕事子育で一杯一杯になっている僕が、ゆっくり出来るようにと結婚して初めての誕生日にヒカルプレゼントしてくれたもの。
とてもビックリしたけど、手を抜くこと知らなくて何でも全力投球して完璧にこなそうとして、メチャメチャストレス溜める僕を気遣っての物だった。
そこまで僕のことを理解してくれているヒカルに感動したのを、今でも覚えてる。
その後も毎年、僕の誕生日を『奥様感謝DAY』と称して豪華なサプライズプレゼントをしてくれている。
今年は10周年だから、いつも以上に張り切って計画を立てているみたいだ。
どんなプランなんだろう？楽しみだな…。
僕もヒカルの誕生日を『旦那様感謝DAY』と思っていて、こうやってヒカルにプレゼントするマフラーの仕上げの中。
９月に毛糸製品はまだ早いけど、僕はヒカルのようにサプライズなんて無理だしこれぐらししか思い浮かばないから、その年の冬に使ってもらえ

れば良いと思って毎年手編みの何かをプレゼントしている。
それから、ヒカルの大好物を沢山作って…。



手作りケーキは何が良いかな？