研究会当日=クリスマス当日。
僕は珍しく乗り気じゃないまま参加した。
永夏の棋譜は面白かったけどね。
「今日はここまでにしておこう」
父の終了の声と同時に僕は立ちあがる。
「それじゃ僕、ちょっと出掛けますので」
僕が部屋を出た後、緒方さん達が僕に彼氏か出来たかもって大騒ぎしていたと母から聞いた。
大騒ぎするから、ヒカルとの交際は内緒にしてるんだよね。
「ちゃんと釘は刺しておいたから、今後も邪魔はしないと思うわ」
そう言って、母はニコニコ笑う。
どんな釘を刺したのか気にはなるけど怖くて聴けない。
(母は絶対、僕に彼氏が出来たこと気づいてるよね)
でも何も言ってこない。
気付いていながらだ黙っててくれている母に感謝だね。
ヒカルの部屋に戻って、料理の続きを作り始めた。
今から作れば、ヒカルが帰ってくるまでに完成させられそう。
「ただいま〜」
「おかえり」
料理が全て完成した頃、ヒカルが帰ってきたと思ったら、いきなり後ろから抱きしめられた。
「伊角さんと奈瀬付き合ってるってカミングアウトされるし、街中はカップルだらけなのを見てたら我慢できなくなった」
そう言って、僕を抱えて寝室に向かうヒカル。
「ちょ、ちょっとヒカル。食事は?」
「後で。先にアキラが食べたい」
……/////
なななな何を言ってるんだ。
僕を何だって?
……/////
こうなったら主導権はヒカル。
彼が満足するまではなしてくれないだろう。
(僕も期待してたから別に良いけど)
料理は温め直せば良いしね。
散々したあと、腹減ったって言って僕の手料理を美味しいと言って食べてくれたから良かった。
また来年のクリスマスもヒカルと一緒に過ごせますように。