「再婚することにした」
親父が再婚を決めた。
母さんが突然の事故でこの世を去って5年。
息子としては、まだ早いんじゃないの?…とか色々思うことがあって心中附複雑なんだけど、親父もまだ若いし、再婚考えてもしょうがないよな…とか、どうにかこうにか自分を納得させて、両家の顔合わせに行ったらさ……。
「久し振りだね……進藤」
……って、えっ?
塔矢が居たんだ。
「とととと…塔矢?!」
塔矢先生まで居るよ。
塔矢親子勢揃い。
先生…相変わらずの貫禄だなぁ。
…って、それどころじゃなかった。
親父に確認しないと。
「親父の再婚相手って塔矢なの?」
「ああ…言ってなかったか?」
「聞いてない…」
「そうか…悪かったな…。ハハハ…」
なんだよ。 その軽い感じは!全然悪いと思ってないだろ!
ていうか、塔矢とオレは同じ年なんだぞ。
塔矢がオレの義理の母親なる?
……冗談だろ?
塔矢先生は反対しないの?
えっ、寧ろ賛成?
マジ?
嘘だろ。
「頼むから考え直してくれっっっ!!」
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「そんなふざけた夢を見たから、慌てて僕にプロポーズしたと?」
ああ…塔矢の鋭い視線が突き刺さる…。
「しょうがないだろ…。あんな夢見たんだから…」
そう…親父が塔矢と再婚する話は夢だったんだ。
目が覚めて夢だと解った時のオレの気持ち解る?
滅茶苦茶ホッとしたんだぞ。
(結婚式まで見せられたからなぁ…)
なんで、親父と塔矢が仲良く並んで皆に祝福されるシーンなんて見なきゃいけないんだよ…。
で、オレは思ったんだ。
塔矢が他の男に取られるなんて絶対!嫌だって。
だったらオレが塔矢と結婚すれば良いって。
思い立ったら即実行!ってことで、塔矢に会ってプロポーズしたら「ふざけるな~」怒られて、夢のことを話してみたら「ふざけた夢」と言われてしまったわけ。
オレにとっては「ふざけた夢」じゃなくて、正に悪夢だったんだぞ。
「君は馬鹿か…」
あ~塔矢の視線が益々鋭いものになっていく。
完全に呆れられた?
(これはちょっと不味いかも…)
この後、暫く塔矢に相手にされなかったりするんだけど、前も食らいついてライバルにになったオレだ。
何年かかっても、今度はオレの奥さんになってもらうぜ。