「ここ…どこ…?」
「僕に聞かないでよ…」
オレとアキラは見慣れない部屋の風景に呆然としている。
昨日はオレの部屋でアキラと2人で検討して、アキラの手料理食べて、恋人の時間を楽しんでいた筈なんだけど…。
朝、気が付いたら、ここにいた。
見るからに和室だけど、オレの済むマンションに和室はないからな…。
アキラも不安そうに部屋を見まわしている。
こういうこういうイレギュラーな状況に苦手そうだもんな…。
オレは、佐為に憑りつかれたりしたから、けっこう平気だけど。
「誰ですか!そこにいるのは?」
アキラと2人で途方に暮れていたら声を掛けられて、振り返って…オレは固まった。
佐為が目の前にいる。
自然とオレは、佐為に近づいていた。
「佐為!お前、何でこんな所にいるんだよ」
「ここは私の邸宅の敷地内ですから居て当然ですよ。というより貴方は誰ですか?どうして私の名を…」
「えっ?じゃあことは、お前生きてるの?」
「当然でしょ!何を言ってるのですか!あなたは」
佐為が生きてる?
って、ことは…ここって…もしかして?
「平安時代…?!」
オレとアキラは顔を見合わせてハモッて叫んでいた。
●〇●〇●〇 ●〇●〇●〇●〇
「あなた達は未来から来たと?」
「信じらないでしょうけど本当です」
アキラが俺達が未来から来たことを、解りやすく正確に佐為に説明してくれた。
アキラが居てくれて助かったよ。
俺だと、あんなに上手く説明できなかったぜ。
「帰る方法はあるのですか?」
「いえ、まだ来たばかりなので…」
「それでは、帰る方法が解るまで、私の遠縁の者ということにしますから、ここに住んでください」
「えっ、良いんですか?」
「ええ、ただし毎日、私と打ってください。未来の定石見てみたいですから」
ああ…間違いない、囲碁バカ佐為だ。
オレも平安時代の佐為がどんな碁を興味がある。
「はい、喜んで」
アキラも嬉しそうだ。
お前も佐為と打ちたがってたもんな。
ただな、秀策に憑りつく前だから、あの強さはないかもしれない。
そのことを後で、ちゃんと話しておかないと。