碁に関しては特に僕が引けなくて、ヒカルも引けなくなって別れてはヨリを戻すを2回繰り返し、お互いへの当て付けて、別の人とまで結婚して別れた僕達が、お互いが好きだと気付いて再婚を前提に3度目のヨリを戻して2ヶ月と少し。
「籍入れる?」
恋人の熱い時間を過ごした後、ヒカルが聞いてきた。
「う~~ん…どっちでも良いけど」
「オレとしては入れたいな…。また大喧嘩になった時ストッパーになるだろうし」
「今までならなかったのに?」
「あ~でも流石に4回目になるし…バツつけたくない!って、ストッパーになるかもよ」
確かに、これ以上バツは付けたくないかも。
「ヒカルと再婚することお母さんに話したら、事実婚で良くない?って言われたよ」
いつも僕の味方でヒカルとの仲も応援してくれてたけど、同じ人と3度目の結婚だと流石の母さんも呆れるよね。
ちょっとショックだったけど、お母さんにの気持ちも解る。
実際には4度目だし。
「明子さんも流石に呆れてるよな…」
「そっちはどうだった?」
進藤もお義母さんに話したらしい。
「アキラさんに申し訳ない…って呆れられたな」
もう定石だよ…と、進藤は笑ってる。
「お袋はオレがバカやってお前を怒らせたと思ってるからな。お前の営業スマイルは最強だよ。…オレもその営業スマイルにやられたんだよな…」
「………」
笑いながら話すヒカルに、僕は申し訳ない気持ちになる。
僕が碁第一に考え過ぎで引けなくて、ヒカルも引けなくなって大喧嘩になって、僕から離婚を切り出すのが定石なのに。
「オレはけっこう好き勝手やってるからしょうがないさ。気にするな」
僕の碁第一主義の本当にの姿?を知らない人達から、僕と別れる度に悪者になってるヒカル。
辛いと思ってないみたいで笑い飛ばしてるヒカルを見て、申し訳ない気持ちになったりもしたな。
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次の日、お母さんからの許しは貰ってないけど、棋院でヒカルと結婚する予定だと報告したら、事務の皆さんが固まった。
(…やっぱりそういう反応になるよね…)
ハハハ…。
当然というか…噂を聞いた棋士の皆さんも固まってるよ。
緒方さんなんて、芦原さんを巻き込んで僕達の再婚を賭けにしてたし。
「芦原、賭けをしよう。オレは1年後に別れる方に賭ける」
「何言ってるんですか!今度こそ上手くいきます!」
「4度目の正直か?ならお前は続く方に賭けろ」
「解りましたよ!賭ければ良いんでしょ!賭ければ!」
芦原さん…。
僕とヒカルが結婚する時は喜んでくれて、別れる時は踏み留まるように僕を説得してくれたり、いつも味方でいてくれた。
今度こそ芦原さんを安心させないと。
あと…。
(緒方さんに、ドヤ顔させてたまるかつ!)
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それから数日後、進藤が両親に挨拶に来た。
「なんだかかんだ言って、アキラさんの夫が務まるのはヒカルさんだけなのよね…。碁中心のアキラさんに付いて行けるんですもの…」
…そうですね…ヒカルだけですね、
付いて来るだけじゃなくライバルとして闘ってくれてます。
「全く…誰のせいでこんな囲碁バカになったんでしょうねぇ」
「…………」
隣にいるお父さんを睨むお母さんに、何も言えなくて、そこにいるだけの状態になってる。
「解りました。再婚は認めます。ただし…」
ホッとして直ぐ真剣な顔で言い出すから、思わず身構えてします。
ただし…なんですか?
「いい加減、孫を見せてちょうだい!」
あっ、そっち。
もっと凄い条件出されるのかとドキドキしたのに…ちょっと拍子抜け。
(あっ、でも僕に取っては厳しい条件かも?)
僕がタイトル戦や仕事を優先して、子作りしてないこと、お母さんにはお見通しなんだよね…。
欲しくない訳じゃないけど、スケジュールを考えると、二の足を踏んでしまって…。
碁第一主義だから。
でも、それじゃダメだよね。
そんな訳で、回りに呆れられながら、4度目の結婚することになった僕達。
4度目ということで、僕の誕生日に婚姻届を出すだけにした。
1年後、僕達はどうなって解らないけど、4度目の…なんてことにならないように気を付けます。
家族が増える予定になってると良いかな。