(塔矢のウェディングドレス姿綺麗だったな…♪)
ルンルン気分のまま野暮用で棋院に顔を出したら…
「進藤~~~っっっ!!」
緒方さんに捕まった。
(なんで会いたくない時に限っているんだよ〜)
何故か会いたくない時の遭遇率100%なんだよ。
緒方さんが言いたいことは想像がつく。
今日、オレと塔矢が授かり婚することを正式発表することになってるんだけど、もう耳に入ったんだろうな。
「アキラ君を復帰させろとは言ったが、妊娠させろとはいってないぞっっっ!」
「ハハハ……」
謝ったとしても色々言われるだろうから、ここは笑っておくしかない。
「まあまあ緒方さん、落ち着いて…」
芦原が宥めてくれてるけど…
「これが落ち着いていられるかっっっ!!!」
全く効果なしで益々ヒートアップしてる。
「気持ちは解りますけどアキラも喜んでるし、進藤君を虐めたりしたら嫌われますよ」
それでも好感度下がってるのに…と芦原さん。
「はあ、俺の好感度が下がってるなんてあり得ないだろ?」
「えーーー気づいていないんですか?」
「俺がアキラ君に嫌われてる?そんな筈はない…。俺は良い兄の筈…」
「これで少しは静かになるかな」
明らかに緒方さんが落ち込んでる一方で、芦原さんはメチャクチャ笑顔。
緒方さんを静かにさせるために、こんな爆弾?落としたの!?
芦原さん容赦ないな…。
「ところで進藤君」
「はい」
「アキラを泣かせたら許さないからね」
芦原さん、めっちゃ笑顔なんだけど…目は笑ってない。
ハッキリ言って怖い…。
(芦原さんもアキラLOVEな兄ポジションだもんな…)
普段静かな分、怒らせたら怖そう…。
(緒方さん以上に怒らせないように気を付けよう…)
心に誓った。
「じゃあ、オレ急いでるんで…」
「おいっ、進藤!まだ話は終わって―」
まだ何か言いたそうな緒方さんを振り切って塔矢の家に戻った。
そして、パーティやってる部屋に入った瞬間、日々野さんに胸ぐら掴まれてビックリしたのなんのって…。
ちょうど結婚発表を知った直後だったみたいで…。
(タイミング悪いな…オレ)
その後、暫くはハニックでワチャワチャしたけど落ち着いた所で…
「進藤さん、塔矢を泣かせたら承知ないわよ!」
オレの胸ぐらを掴んだまま、そう言う日比野さんの後ろで、小林さん達もウンウンと頷いてる。
「言われなくても絶対幸せにします」
「それでよし!」
日比野さんは納得してくれたみたいで、やっと手を離してくれた。
(あ~~苦しかった…)
それから、オレと塔矢の出会いや色々なことを聞かれた。
オレが塔矢との出会いや色々なことを素直に話すもんだから、塔矢が慌ててたり恥ずかしいのか赤くなってたりしてるのを見てるのが楽しかった。
(楽しそうだな…)
塔矢が友達とワイワイ話してる所なんて初めて見たから新鮮だった。
パーティが終わる頃にはオレも日比野さん達と打ち解けて、塔矢がちょっとだけヤキモチ妬いてたりして(本人は否定してたけど)楽しかった。
日比野さん達が帰った後…
「どうして皆、大騒ぎしてるんだろう?おめでたいことなのに」
塔矢が不思議そうに言ってたけど、真面目な塔矢から授かり婚なんて予想出来ないからだと思う。
(明日からも色々言われるんだろうな)
見た目と過去のやらかしのせいで、今でも時々お小言を貰ってしまうオレが塔矢と結婚…しかも授かり婚とくれば…言われてもしょうがないのかもな。
予想通り暫くお小言やお祝いを色々人に言われまくった。
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それから1年が経って更に4月になった。
今日からアキラが棋士に復帰する。
棋院中も棋士達も皆ソワソワして落ち着かないみたいだ。
オレもちょっとソワソワしつつワクワクもしてる。
だって、アキラの復帰戦の相手オレだし。
(そういえばアキラが突然棋士を止めた時も、対戦相手は俺だったけ)
久し振りに公式戦で向かい合う。
「「お願いします」」
ライバルとしてのオレ達の時間がもう1度始まるんだ。
そうそう、大事なことを言い忘れてた。
オレ達の間に生まれたのは女の子だったんだ。
アキラにそっくりでオレはもうメロメロ。
これからもアキラと娘を幸せにするために頑張らないとな。