ONE MORE TIME 03
(アキラサイド)

「塔矢の為に合コンやるわよ」
日比野さんの鶴の一声であっという間に設定されてしまった合コン。
毎回毎回違う男性を3人も連れて来るなんて、どんな交友関係なんだ?
僕には想像出来ない。

「……………」

そして、僕は合コン会場(お店)にいるというわけで…。

は〜〜〜あ。

乗り気じゃない僕を置いて、参加者の自己紹介が始まった。

(帰りたい…)

大人数で飲むのも賑やかなお店で飲むのも苦手で、1人で飲むほうが好きだなんだよね。
「有坂聖也といいます。海王中学から海王高校でK大学を卒業して、日比野さんと同じ会社に入りました。今回別部署の日比野さんに引っ張り出されました」

ん?
海王中?

どうしよう…どうしよう…どうしよう…どうしよう…どうしよう…。
僕の素性がバレるかも?

「ちょっと塔矢さん」
「えっ?」
「早く挨拶しなさいよ」

海王中と聞いて不安になっている僕に、日比野さんが言う。

「……塔矢アキラです」
「ちょっとそれだけなの?もっとちゃんと自己紹介しなさいよ。塔矢はいつもそれだけなんだから!今日は塔矢の為の合コンなのよ」

また日比野さんに言われてしまったけど、何をどう言ったら良んだろう。 というか、僕の為の合コンなんて頼んでないのだけど。

「まあまあ、皆が君みたいにグイグイ行くタイプじゃないんだから」
「うっ」
「日比野さんは、こんなんだけど気にしないでね』
「ちょっと、こんなんってどういう意味よっ!」
「そのままの意味だよ。ね、小林さん?」

不意打ちで話を振られた小林さんは、パスタを食べてる手を止めた。

「おいっ、何で私に振る」
「小林さんは日比野さんと幼なじみだろ?」
「それは小学校低学年までの話で、私が引っ越しで離れたからな。まあ周りのことを考えずグイグイいく奴なのは認めるけど」
「泰子、アンタね〜」

五月蝿いな〜。
森田さんは色気より食い気なのか、黙ってひたすら食べてる。
2人の男性は完全に空気だ。

「あの…有坂さん」
「何かな?」
「年齢は?」
「25だよ」

よ…良かった…。
被ってない。
多分、有坂さんは僕のこと知らないだろう。

「塔矢が男の人に歳を聞くなんて。有坂に興味があるってことよね?」
「そういうわけじゃ…」

有坂さんが、僕のことを知ってるのか知りたかっだけだ。

「塔矢、有坂とデートしなさい」
「「は〜〜〜〜あ」」

有坂さんとハモってしまった。

「デートって…」
「いきなり過ぎるだろ」
「あっ、それ良いかもな。有坂もヘタレ過ぎて彼女出来ないし」
「小林さん、君がにだけは言われたくないな」
「事実だろ」
「う……」

有坂さん撃沈。 小林さん容赦ないな…。
あれ?

(こんな光景どこかで見たような?)

どこだったっけ?
ま、いいか。

「とにかく今週の土曜日。デートしてらっしゃい」
「日比野さんっ!勝手に決めないでください」

僕はデートなんかしたくない。
土日は進藤の棋譜をチェックしようと思ってるのに。

「塔矢達に任せたら絶対デートしないでしょ。絶対行きなさいよ」

そんな…。
日比野さんお節介が過ぎるよ…。

そんな訳で、日比野さんに押し切られて仕方なくデートに行くのとになったけど、乗り気じゃなかった僕達は適当にして、あっと言う間に終了。
乗り気ではなかったけど、有坂さんが僕が素性を知ってるか確り確認出来たからデートして良かった。

デート中、よく見ると有坂さんって進藤にちょっと似てる?とか思ったけど、よくよく見たらヘタレでちょっとドジで、進藤には似てたいと思い直したり。
髪が金髪だからそう思うだけたけだったんだ。



有坂さんとは色々話て楽しかったけど、進藤が好きな自分の気持ちを再認識することになったから、結果的にデートして良かったのかも。



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